安全管理者選任時研修は誰に必要か|学歴と実務年数の要件、9時間の科目、選任報告まで

技能講習

製造業・建設業・運送業などで常時50人以上の事業場は、安全管理者を選任しなければなりません。そして安全管理者になるには、学歴と実務経験に加えて、原則として「安全管理者選任時研修」の修了が必要です。

この記事は、安全管理者の選任や後任の育成を担当する方に向けて、研修が必要な人・要らない人、研修の中身、選任後の報告までを整理したものです。

安全管理者が必要な事業場

次の業種で、常時50人以上の労働者を使用する事業場です。

林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゅう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゅう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業、機械修理業

50人以上の事業場では、業種を問わず衛生管理者と産業医も必要です。50人未満の事業場は安全衛生推進者・衛生推進者の選任になります。

安全管理者になれる人

次の1か2に当たる人から選任します。

区分 学歴 産業安全の実務経験 選任時研修
1 大学・高専の理科系の課程を卒業 2年以上 必要
高校・中等教育学校の理科系の学科を卒業 4年以上
大学・高専の理科系以外の課程を卒業 4年以上
高校・中等教育学校の理科系以外の学科を卒業 6年以上
学歴を問わない 7年以上
2 労働安全コンサルタント 不要

このほか職業訓練の課程を修了した人についての定めもあります。実務経験の年数を満たしていても、研修を修了していなければ選任できません。研修は、実務年数の要件を満たしたうえで受けさせるものと考えてください。

研修の義務は2006年10月1日から始まりました。その日までに安全管理者として2年以上の経験がある人は、研修の修了は求められていません。

研修の中身 ─ 4科目・合計9時間以上

科目 時間 主な範囲
安全管理 3時間 企業経営と安全、安全管理者の役割と職務、安全活動、労働災害の原因の調査と再発防止対策
危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置等 3時間 リスクアセスメント、労働安全衛生マネジメントシステム
安全教育 1.5時間 安全教育の実施計画の作成、教育の方法、作業標準の作成と周知
関係法令 1.5時間 労働安全関係法令(労働者派遣法の関係条文を含む)

研修は学科で、修了者には修了証が発行されます。次の研修を修了している人は、科目の一部の免除を受けられます。

  • 安全管理者能力向上教育(初任時)の修了者 … 安全管理・安全教育
  • リスクアセスメント担当者(製造業等)研修と労働安全衛生マネジメントシステム担当者研修の修了者 … 危険性又は有害性等の調査等
  • 職長等教育講師養成講座または職長・安全衛生責任者教育講師養成講座の修了者 … 安全管理・安全教育

研修を実施している機関は、最寄りの都道府県労働局に問い合わせると分かります。

選任の決まり

項目 内容
期限 選任すべき事由が発生した日から14日以内
専属 その事業場に専属の人。2人以上選任し、その中に労働安全コンサルタントがいる場合は、そのうち1人は専属でなくてよい
報告 選任したら遅滞なく所轄の労働基準監督署長に報告

選任報告は、2025年1月から電子申請が原則になりました。研修の修了を証明できるものを添えて報告します。ただし当分の間は、従来の様式(様式第3号)による報告も認められています。

専任が必要になる規模

業種 常時使用する労働者数
建設業、有機化学工業製品製造業、石油製品製造業 300人以上
無機化学工業製品製造業、化学肥料製造業、道路貨物運送業、港湾運送業 500人以上
紙・パルプ製造業、鉄鋼業、造船業 1,000人以上
上記以外の対象業種(過去3年間の休業1日以上の死傷者数の合計が100人を超える事業場に限る) 2,000人以上

この規模では、安全管理者のうち少なくとも1人を他の業務と兼ねない専任にします。

担当者がやること ─ 後任を先に育てる

安全管理者が異動・退職すると、14日以内に後任を選任しなければなりません。ところが後任候補に研修の修了がないと、研修の日程次第で間に合わないことがあります。

  • 現任者の氏名・選任日・選任報告の日・研修修了証の写し
  • 後任候補ごとの学歴区分と産業安全の実務年数(要件に届く年月)
  • 後任候補の研修修了日(未修了なら受講予定日)
  • 事業場の労働者数(専任が必要な規模に近づいていないか)

研修費用を助成金でまかなえるかは、社員の資格取得・講習に人材開発支援助成金は使えるかで、対象外になる場合を含めて整理しています。

よくある質問

Q. 研修は何日かかりますか

科目の合計が9時間以上と決まっています。1日で行うか2日に分けるかは実施機関によって違います。

Q. 衛生管理者の免許があれば安全管理者になれますか

いいえ。安全管理者の要件は上の表のとおりで、衛生管理者とは別です。

Q. 総括安全衛生管理者も要りますか

林業・鉱業・建設業・運送業・清掃業は常時100人以上、製造業などは300人以上、その他の業種は1,000人以上の事業場で必要です。

💡 社員の資格・講習を管理している方へ。有効期限が自動で色分けされる管理台帳テンプレート(Excel)を無料で配布しています。

まとめ

  • 対象は製造・建設・運送など特定業種の常時50人以上の事業場
  • 学歴に応じた実務年数(理科系大卒2年〜学歴不問7年)+選任時研修の修了が必要。労働安全コンサルタントは研修不要
  • 研修は4科目・合計9時間以上
  • 14日以内に選任し、遅滞なく監督署へ報告。2025年1月から電子申請が原則

出典

  • 労働安全衛生法第10条・第11条、労働安全衛生法施行令第2条〜第5条
  • 労働安全衛生規則第4条・第5条
  • 労働安全衛生規則第5条第1号の規定に基づき厚生労働大臣が定める研修(平成18年厚生労働省告示第24号)
  • 同研修に係る具体的事項について(平成18年2月24日基発第0224004号)
  • 厚生労働省「安全管理者について教えて下さい」
  • 労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(令和6年厚生労働省令第45号)附則

制度は改正されます。業種・事業場の規模・作業内容によって扱いが変わるため、実際の適用は所轄の労働基準監督署・都道府県労働局・講習の実施機関で必ずご確認ください。

【資格・講習 合格ナビ 編集部 監修】技能講習・国家資格の専門メディア編集部が監修。合格率・取得費用・勉強法に関する情報を提供しています。
タイトルとURLをコピーしました