作業主任者の選任と氏名の掲示|人数ではなく作業で決まる。免許か技能講習か、職務の分担まで

技能講習

作業主任者は、社員数ではなく「その作業を行うかどうか」で選任義務が決まります。社員が数人の会社でも、足場を組む・有機溶剤を使う・プレス機械を5台以上持つ、といった作業があれば選任が必要です。

この記事は、現場の作業主任者の選任と管理を担当する方に向けて、どの作業に誰を選ぶか、選んだあとの掲示と職務を整理したものです。

選任が必要な作業と資格(主なもの)

作業主任者は、都道府県労働局長の免許を受けた人、または技能講習を修了した人から、作業の区分に応じて選任します。

作業 作業主任者の名称 資格
つり足場・張出し足場・高さ5m以上の足場の組立て、解体、変更 足場の組立て等作業主任者 技能講習
掘削面の高さが2m以上の地山の掘削 地山の掘削作業主任者 技能講習
型枠支保工の組立て・解体 型枠支保工の組立て等作業主任者 技能講習
屋内作業場等での有機溶剤の製造・取扱い 有機溶剤作業主任者 技能講習
特定化学物質の製造・取扱い 特定化学物質作業主任者 技能講習
金属をアーク溶接する作業など(溶接ヒューム) 金属アーク溶接等作業主任者 技能講習
酸素欠乏危険場所での作業 酸素欠乏危険作業主任者 技能講習
石綿等を取り扱う作業 石綿作業主任者 技能講習
動力プレス機械を5台以上有する事業場でのプレス作業 プレス機械作業主任者 技能講習
高さ2m以上のはいのはい付け・はい崩し はい作業主任者 技能講習
ボイラー(小型ボイラーを除く)の取扱い ボイラー取扱作業主任者 ボイラー技士免許(伝熱面積で必要な級が変わる。一部の小規模なボイラーだけを扱う場合はボイラー取扱技能講習も可)
アセチレン溶接装置・ガス集合溶接装置を用いる溶接等 ガス溶接作業主任者 免許
エックス線装置を使う放射線業務 エックス線作業主任者 免許

作業は労働安全衛生法施行令第6条、資格と名称は労働安全衛生規則別表第一に全て並んでいます。設備を入れた・材料を変えた・工事の種類が増えた、というときに義務が新しく生じます。人事異動だけを見ていると気づけません。

選任したら、氏名と職務を掲示する

事業者は、作業主任者を選任したら、その人の氏名と、その人に行わせる事項を、作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係する労働者に知らせなければなりません(労働安全衛生規則第18条)。

掲示に入れるもの 例
作業主任者の名称 有機溶剤作業主任者
氏名 ◯◯ ◯◯
行わせる事項 作業の方法の決定と労働者の指揮、換気装置の点検、保護具の使用状況の監視 など

氏名だけの掲示では足りません。「行わせる事項」まで書くのが要点です。担当者が替わったら掲示も替えます。

作業主任者の職務は作業ごとに決まっている

行わせる事項は、作業ごとに規則で決まっています。例として2つを挙げます。

作業主任者 行わせる事項(要旨)
有機溶剤作業主任者 汚染・吸入しないよう作業の方法を決めて指揮する/局所排気装置などを1か月を超えない期間ごとに点検する/保護具の使用状況を監視する/タンク内作業での措置を確認する
足場の組立て等作業主任者 材料の欠点を点検し不良品を取り除く/器具・工具・墜落制止用器具・保護帽を点検する/作業の方法と労働者の配置を決め、進行状況を監視する/墜落制止用器具等の使用状況を監視する

掲示の「行わせる事項」は、該当する規則の条文から写すのが確実です。

2人以上選んだときは分担を決める

同じ場所で同じ作業に作業主任者を2人以上選任したときは、それぞれの職務の分担を定めなければなりません(労働安全衛生規則第17条)。分担を決めていないと、点検や監視を誰がやるのかが曖昧になります。

作業する人の資格とは別の義務

作業主任者の選任(労働安全衛生法第14条)と、作業する人に必要な資格・教育(特別教育や、免許・技能講習が必要な就業制限業務)は別の義務です。作業主任者を置いても、作業する人の資格が不要になるわけではありません。作業する人側の判定は特別教育と技能講習の違いで整理しています。

作業主任者の選任義務に違反すると、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金の対象です(同法第119条)。

担当者がやること ─ 「作業×事業場」で表を作る

  • 行っている作業の一覧(事業場・現場ごと)と、それぞれに必要な作業主任者の名称
  • 選任している人の氏名と、技能講習修了証・免許証の番号と交付機関
  • 掲示を更新した日
  • 休み・異動に備えた後任候補(技能講習を受けさせておく人)

修了証をなくした・名前が変わった、というときの手続きは技能講習修了証の再交付と統合カードをご覧ください。

よくある質問

Q. 選任したら監督署に届け出ますか

労働安全衛生規則には、作業主任者の選任を監督署へ報告する定めはありません。その代わり、氏名と職務の掲示等による周知が義務です。

Q. 小さな会社でも必要ですか

必要です。作業主任者は事業場の人数ではなく作業の種類で義務が決まります(プレス機械や木材加工用機械のように台数の条件があるものはあります)。

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まとめ

  • 作業主任者は作業の種類で義務が決まる。設備・材料の変更が引き金
  • 資格は作業ごとに免許または技能講習
  • 選任したら氏名と行わせる事項を作業場の見やすい箇所に掲示する等で周知
  • 同じ作業に2人以上なら職務の分担を定める

出典

  • 労働安全衛生法第14条・第119条、労働安全衛生法施行令第6条
  • 労働安全衛生規則第16条〜第18条・第566条・別表第一
  • 有機溶剤中毒予防規則第19条・第19条の2

制度は改正されます。業種・事業場の規模・作業内容によって扱いが変わるため、実際の適用は所轄の労働基準監督署・都道府県労働局・講習の実施機関で必ずご確認ください。

【資格・講習 合格ナビ 編集部 監修】技能講習・国家資格の専門メディア編集部が監修。合格率・取得費用・勉強法に関する情報を提供しています。
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