エネルギー管理者とエネルギー管理員の違い|選任数・資格・資質向上講習・選任届の期限

国家資格

省エネ法(正式名称「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」)では、工場・事業場の指定の種類によって選任する人が変わります。第一種エネルギー管理指定工場等のうち、製造業など5業種の工場には「エネルギー管理者」を選任します。それ以外の第一種指定工場等と第二種指定工場等には「エネルギー管理員」を選任します。どちらも指定工場等ごとに置きます。エネルギー管理者はエネルギー管理士免状を持つ人から選び、人数はエネルギー使用量によって1〜4人です。エネルギー管理員は免状を持つ人かエネルギー管理講習の修了者から1人選びます。講習修了者を選んだ場合は、3年ごとに資質向上講習を受けさせる義務が会社に生じます。

この記事は、指定工場等を持つ会社で資格者の手配や届出を担当する総務・人事・安全衛生の方に向けたものです。「自分の事業所はどちらを選任するのか」「何人必要か」「誰なら選任できるか」「講習の期限はいつか」「届出はいつまでに何を出すか」を、条文と資源エネルギー庁・経済産業局の案内に沿って順に整理します。

最初に確認すること:事業所はどの区分に指定されているか

2023年4月施行の改正で、法律名が現在のものに変わりました。この記事は、改正後の法律・施行令・施行規則(2026年10月時点)に基づいています。選任すべき人は、会社単位ではなく工場・事業場(法律上は「工場等」)単位で決まります。会社全体のエネルギー使用量が原油換算で年度1,500kl以上になると「特定事業者」に指定されます。そのうえで、個々の工場等の使用量によって第一種・第二種のエネルギー管理指定工場等に指定されます。原油換算とは、電気・ガス・燃料などの使用量を原油の量に置き換えて合計する方法です。

工場等の年度エネルギー使用量(原油換算) 指定区分 業種 選任すべき者
3,000kl以上 第一種エネルギー管理指定工場等 製造業等5業種(鉱業・製造業・電気供給業・ガス供給業・熱供給業)の工場等(事務所を除く) エネルギー管理者
3,000kl以上 第一種エネルギー管理指定工場等 上記5業種の事務所、上記以外の業種(ホテル・病院・学校など) エネルギー管理員
1,500kl以上3,000kl未満 第二種エネルギー管理指定工場等 全ての業種 エネルギー管理員
1,500kl未満 指定なし 全ての業種 選任義務なし

第一種指定工場等のうち、エネルギー管理員を置く側(5業種の事務所と5業種以外)を持つ事業者を、法律では「第一種指定事業者」と呼びます。社内の指定通知や定期報告書の指定表で各事業所の区分を先に確かめておくと、このあとの判断が早くなります。

なお、会社単位では別に「エネルギー管理統括者」(役員クラスを想定)と「エネルギー管理企画推進者」を1人ずつ選任する義務があります。この記事では、工場等ごとに置くエネルギー管理者とエネルギー管理員を扱います。

エネルギー管理者とエネルギー管理員の違い

どちらも、担当する工場等で、エネルギーを消費する設備の維持やエネルギーの使い方の改善・監視などを管理する役割です。施行規則は、これに加えて次の2つも業務として定めています。

  • エネルギーの使用の合理化に関する設備の維持
  • 定期報告書に関する書類の作成

両者の違いは、置く場所、資格要件、人数、講習義務にあります。

項目 エネルギー管理者 エネルギー管理員
根拠条文 省エネ法第11条 省エネ法第12条(第一種指定事業者)、第14条(第二種)
置く工場等 第一種指定工場等のうち製造業等5業種の工場等(事務所を除く) 第一種指定工場等のうち5業種の事務所・5業種以外の業種、第二種指定工場等
選任できる人 エネルギー管理士免状の交付を受けている者 エネルギー管理講習の修了者、またはエネルギー管理士免状の交付を受けている者
人数 業種と年度の使用量に応じて1〜4人 工場等ごとに1人
資質向上講習 法第11条に受講させる規定はない 講習修了者から選任した場合に、定期的に受講させる義務

法第48条は、選任後の関係者の義務も定めています。

  • エネルギー管理者・エネルギー管理員は、職務を誠実に行う。
  • エネルギー管理統括者は、その意見を尊重する。
  • 工場等の従業員は、その職務上必要な指示に従う。

エネルギー管理者は何人必要か:選任数の決め方

エネルギー管理者の人数は、法第11条にもとづいて政令(施行令)で定める基準により、業種と工場等の年度のエネルギー使用量(原油換算)で決まります。エネルギー管理員は、区分にかかわらず工場等ごとに1人です。

業種 年度のエネルギー使用量(原油換算) エネルギー管理者の選任数
コークス製造業、電気供給業、ガス供給業、熱供給業 10万kl未満 1人
コークス製造業、電気供給業、ガス供給業、熱供給業 10万kl以上 2人
製造業(コークス製造業を除く)、鉱業 2万kl未満 1人
製造業(コークス製造業を除く)、鉱業 2万kl以上5万kl未満 2人
製造業(コークス製造業を除く)、鉱業 5万kl以上10万kl未満 3人
製造業(コークス製造業を除く)、鉱業 10万kl以上 4人

増産や設備の増設で使用量が区分の境目を越えた事業所では、必要な人数が増えていないかを毎年確認してください。免状保有者の育成や採用には時間がかかるため、人事異動の計画と合わせて確認しておくと安全です。

もう一つの注意点は兼任です。施行規則では、すでに統括者・企画推進者・エネルギー管理者・エネルギー管理員のいずれかに選任されている人は、原則としてエネルギー管理者・エネルギー管理員に選べません。例外として兼任させるには、経済産業大臣の承認が必要です(主たる事務所が一つの経済産業局の管轄内だけにある場合は、その経済産業局長の承認)。

資源エネルギー庁が掲載している「兼任の承認の基準」では、すでにエネルギー管理者・管理員に選任されている人を別の工場等のエネルギー管理員として兼任させる場合、次の条件などを全て満たす必要があります。

  • 同じ敷地または隣接する敷地内で一体的に管理されていること(デジタル技術の活用による一体的な管理も可)
  • 選任される工場等が3以下であること
  • 管理するすべての設備のエネルギー合計量(基準に定める方法で計算)が原油換算2万kl未満であること
  • 毎週2回以上の管理を行うこと

エネルギー管理者として兼任させる場合は、兼任させる人がエネルギー管理士免状を持っていることなども条件に加わります。

関東経済産業局は、兼任の場合は承認を受けてから選任届を出すよう案内しています。

誰なら選任できるか:エネルギー管理士免状と講習修了

選任できるかどうかは、職種や役職ではなく資格で決まります。判断の分かれ目は「エネルギー管理士免状を持っているか」です。

資格 取得の方法 選任できる役割
エネルギー管理士免状 エネルギー管理士試験に合格し1年以上の実務経験がある人、または実務経験3年以上でエネルギー管理研修を修了した人が、免状交付を申請して取得 エネルギー管理者、エネルギー管理員、エネルギー管理企画推進者
エネルギー管理講習(新規講習)の修了 指定講習機関である一般財団法人省エネルギーセンターの講習を修了。受講資格の制限はない エネルギー管理員、エネルギー管理企画推進者

エネルギー管理者を置く工場では、免状保有者の代わりに講習修了者を選任することはできません。社内に候補者がいなければ、試験か研修で免状を取ってもらう計画が必要です。試験の受験資格や科目はエネルギー管理士試験の受験資格・勉強法の記事で、合格率や費用はエネルギー管理士の合格率・費用の記事で扱っています。

エネルギー管理員であれば、新規講習の修了者を選任できます。関東経済産業局は、選任届には免状番号または講習の受講番号を記載するよう案内しています。また、講習修了者を選任する場合、選任日は修了日以降にする必要があります。

省エネルギーセンターの講習案内ページ(2026年4月1日更新)では、令和8年度新規講習の下期の申込受付期間は2026年8月14日〜11月13日です。日程は年度ごとに変わるため、申し込む前に同センターの最新の案内を確認してください。

資質向上講習はいつまでに受けさせるか:3年ごとの期限の数え方

エネルギー管理講習の修了者をエネルギー管理員に選任した会社は、その人に定期的に資質向上講習を受けさせなければなりません(法第12条第2項・第14条第2項)。これは本人の努力義務ではなく、選任した事業者の義務です。エネルギー管理士免状を持つ人を選任した場合と、エネルギー管理者には、この義務はありません。

期限は施行規則第32条で次のように数えます。起点は「受講日」ではなく「受講日が属する年度の翌年度の4月1日」です。管理表を作るときはこの点に注意してください。

状況 受講させる期限
原則 新規講習を受けた日(資質向上講習を受けたことがあれば直近の受講日)の属する年度の翌年度の開始日から起算して3年
新規講習の翌年度の開始日から2年を超えた日以降に選任した場合 選任した日の属する年度の翌年度の開始日から起算して1年
いったん解任された後、直近の講習の翌年度の開始日から2年を超えた日以降に再び選任した場合 選任した日の属する年度の翌年度の開始日から起算して1年

たとえば、2026年9月に新規講習を修了した人をすぐに選任したとします。起点は2027年4月1日なので、3年後の2030年3月31日までに資質向上講習を受けさせます。その後は、直近の資質向上講習の受講日を基準に同じ数え方を繰り返します。

同じ人を2029年度に入ってから初めて選任した場合は、2030年4月1日から1年、つまり2031年3月31日が期限です。災害その他やむを得ない事由があるときは、経済産業大臣が定める期間内に受講させればよいことになっています。

省エネルギーセンターは、資質向上講習も法定講習であり、対象者に受講させるのは事業者の義務だと案内しています。オンライン講習の受講期間や申込期間は年度ごとに同センターの案内ページに示されるため、期限の年度に入ったら早めに日程を確かめてください。

いつまでに選任し、何をいつまでに届け出るか

選任と届出には、それぞれ別の期限があります。混同しやすいので、表で分けて示します。

手続き 期限 根拠・様式
エネルギー管理者・エネルギー管理員の選任 選任すべき事由が生じた日から6か月以内 施行規則第17条・第23条
選任・解任の届出 選任または解任があった日後の最初の7月末日まで 施行規則第22条・第33条、様式第7「エネルギー管理者(管理員)選任・解任届出書」

届出は、エネルギー管理者・管理員を選任・解任したときに、事業者がとりまとめて提出します。選任・解任した人数が多い場合は、一覧表を添付することもできます。提出期限が行政機関の休日にあたるときは、その翌日が期限になります。

関東経済産業局は、法定期限が7月末日であっても、選任・解任のたびに速やかに提出するよう求めています。担当者の異動で届出が漏れるのを防ぐためです。

提出先は経済産業局です。中国経済産業局の2023年度の案内では、選任・解任届出書の提出先は同局長のみとされています(中長期計画書・定期報告書と違い、事業の所管省庁には提出しない)。同じ案内では、選任・解任届は「省エネ法・温対法・フロン法電子報告システム(EEGS)」などで電子提出できると説明されています。なお、関東経済産業局の2026年6月更新のページでは、このシステムを「省エネ・非化石転換法・温対法・フロン法電子報告システム(EEGS)」と表記しています。

罰則も確認しておきます。

選任を怠った場合や、選任・解任の届出をしなかった場合の罰則も法律に定められています。金額や適用条文は改正されることがあるため、管轄の経済産業局の案内で確認してください。

よくある質問

Q. 第一種指定工場ですが、本社ビル(事務所)です。エネルギー管理者が必要ですか。

製造業等5業種の会社であっても、専ら事務所などの用途に使われている工場等(政令で定めるもの)ではエネルギー管理員を選任します(法第11条第1項第1号)。エネルギー管理員は講習修了者からも選任できます。

Q. エネルギー管理士免状を持つ社員をエネルギー管理員に選任した場合、資質向上講習は必要ですか。

法第12条第2項・第14条第2項の受講義務は、エネルギー管理講習の修了者を選任した場合に限られます。免状保有者として選任した場合は対象外です。

Q. エネルギー管理者・管理員は、他の業務と兼務してもよいですか。

資源エネルギー庁は、エネルギー管理統括者等について、省エネ法と関係のない業務との兼務は可能だとしています。特定の時間や場所に常にいることも求めていません。一方、省エネ法上の役割どうしを兼ねる場合(たとえば2つの工場等のエネルギー管理者を兼ねる場合)は、前述の承認基準を満たして承認を受ける必要があります。

Q. 担当者が異動しました。いつまでに何をすればよいですか。

選任すべき事由が生じた日から6か月以内に後任を選任します。そのうえで、解任と選任の内容を様式第7で、その日後の最初の7月末日までに届け出ます。講習修了者を後任にする場合は、選任日を修了日以降にしてください。資質向上講習の期限も、後任者の受講日をもとに計算し直します。

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まとめ

  • 第一種指定工場等(年度3,000kl以上)のうち製造業等5業種の工場ではエネルギー管理者を選任します。5業種の事務所、その他の業種の第一種、第二種指定工場等(1,500kl以上3,000kl未満)ではエネルギー管理員を選任します。
  • エネルギー管理者はエネルギー管理士免状を持つ人に限られ、人数は業種と年度の使用量で1〜4人です。エネルギー管理員は免状保有者か講習修了者から1人選びます。
  • 講習修了者をエネルギー管理員に選任した会社には、受講日が属する年度の翌年度4月1日から3年以内に資質向上講習を受けさせる義務があります。
  • 選任は事由が生じた日から6か月以内です。届出は、選任・解任後の最初の7月末日までに様式第7で経済産業局へ提出します。
  • 役割どうしの兼任には承認が必要です。選任しなかった場合や届出をしなかった場合には罰則があります。

出典

  • エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律 第9条、第10条、第11条、第12条、第13条、第14条、第48条、第174条
  • エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律施行令
  • エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律施行規則 第17条、第18条、第22条、第23条、第24条、第25条、第32条、第33条、第36条、様式第7
  • 資源エネルギー庁「事業者の区分と義務」「特定事業者向け情報」
  • 資源エネルギー庁「兼任の承認の基準」
  • 資源エネルギー庁「2023年4月施行の『改正省エネ法』、何が変わった?」
  • 関東経済産業局「特定事業者におけるエネルギー管理統括者等の選任・解任手続きについて」「定期報告書・中長期計画書の作成ポイントと提出期限について」
  • 中国経済産業局「省エネ法に基づく特定事業者等の中長期計画書及び定期報告書等の提出について」
  • 一般財団法人省エネルギーセンター「エネルギー管理講習『新規講習』『資質向上講習』」「エネルギー管理企画推進者・エネルギー管理員について」

制度は改正されます。業種・事業場の規模・作業内容によって扱いが変わるため、実際の適用は所轄の労働基準監督署・都道府県労働局・消防署・講習の実施機関で必ずご確認ください。

【資格・講習 合格ナビ 編集部 監修】技能講習・国家資格の専門メディア編集部が監修。合格率・取得費用・勉強法に関する情報を提供しています。
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