フォークリフトや玉掛けなど、免許または技能講習の修了が必要な業務に就く人は、作業中に免許証や修了証を携帯していなければなりません(労働安全衛生法第61条第3項)。修了証をなくした社員をそのまま作業させると、この義務を守れません。
この記事は、社員の技能講習修了証を管理する担当者に向けて、紛失・改姓・教習機関の廃止のそれぞれで、どこに何を申し込むかを整理したものです。
携帯が必要な業務(主なもの)
次のような業務は、免許または技能講習の修了などの資格がない人を就かせてはならず、就く人は資格を証する書面を携帯します(労働安全衛生法施行令第20条)。
- 最大荷重1トン以上のフォークリフトの運転(道路上の走行を除く)
- 機体重量3トン以上の車両系建設機械(整地・掘削用など)の運転
- つり上げ荷重1トン以上の移動式クレーンの運転
- 制限荷重1トン以上の揚貨装置、つり上げ荷重1トン以上のクレーン・移動式クレーン・デリックの玉掛け
- 作業床の高さ10メートル以上の高所作業車の運転
- 可燃性ガス及び酸素を用いて行う金属の溶接・溶断・加熱
資格のない人を就かせた事業者は6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、資格のない本人が業務を行った場合も50万円以下の罰金の対象です(同法第119条・第120条)。
状況別の申込先
| 状況 | 申込先 | 受け取るもの |
|---|---|---|
| 修了証をなくした・傷んだ(交付した機関が今も業務を行っている) | 修了証を交付した登録教習機関 | 修了証の再交付 |
| 結婚などで氏名が変わった(同上) | 修了証を交付した登録教習機関 | 修了証の書替え |
| 交付した機関が技能講習の業務を廃止している | 技能講習修了証明書発行事務局(厚生労働大臣の指定機関) | 技能講習修了証明書 |
| どこで受けたか分からない | 発行事務局に資格照会、または都道府県労働局に教習機関の連絡先を照会 | ― |
注意したいのは、申込先は講習を受けた会場ではなく、修了証を交付した登録教習機関だという点です。当時一緒に受講した同僚の修了証を見せてもらうと、機関名が分かることがあります。
事務局で証明書を出せるのは、登録教習機関から事務局へ帳簿が引き渡されている場合など、事務局のデータベースに登録されている範囲に限られます。
複数の修了証を1枚にまとめる「統合カード」
発行事務局の技能講習修了証明書は、複数の登録教習機関で修了した技能講習を1枚にまとめたカードです。労働安全衛生法第61条第3項の「資格を証する書面」に当たるので、これを携帯すれば各修了証を持ち歩く必要はありません。
| 項目 | 内容(発行事務局の案内による) |
|---|---|
| まとめられるもの | 技能講習だけ。特別教育・安全衛生教育・免許は証明できない |
| 1種類だけでも | 発行できる |
| かかる期間 | 書類に不備がなく郵送が円滑な場合でおおむね3週間(集中すると延びる) |
| 申込方法 | 郵送・窓口・オンライン。2026年3月16日からマイナポータルでも申請できる |
| 元の修了証 | 統合カードを作っても大切に保管する |
申込みには、交付申込書、本人の写真(縦4.5cm×横3.5cm、6か月以内に撮影)、本人確認書類の写し、証明したい修了証の写し(ケースによる)などが要ります。
会社でまとめて申し込む場合
企業(事業場)が社員に代わって一括で申し込むこともできます。個人での申込みの書類に加えて、次のものが必要です。
- 一括申込書(本人が委任欄に署名すれば、各人の委任届は省略できる)
- 申込みをする人の身分の証明書(勤務先が発行するもの。様式は任意)
事務局の案内では、発行手数料は1人分の申請につき1,500円で、合計額は事務局から知らされ、現金書留でまとめて払います。郵送料は枚数によって変わります。最新の金額は申込み前に事務局のページで確認してください。
担当者がやること ─ 修了証の控えを台帳に
再交付でいちばん困るのは「どの機関で受けたか分からない」ことです。受講したときに、次を台帳に控えておくと手続きが速くなります。
- 技能講習の名称と修了年月日
- 交付した登録教習機関の名称と修了証の番号
- 修了証の写し(表と裏)
- 統合カードを作ったかどうか
更新や再講習が必要な資格と、そうでない資格の区別は更新・再講習が要る資格の期限管理で整理しています。
よくある質問
Q. 特別教育の修了証をなくしました。事務局で再発行できますか
できません。事務局は特別教育の情報を管理していません。受講した機関か、教育を行った事業主に問い合わせてください。
Q. 氏名が変わったのに書替えをしていません
氏名を変更したときは、修了証を交付した登録教習機関で書替えを受けることになっています(労働安全衛生規則第82条第2項)。機関が業務を廃止している場合は事務局に申し込みます。
💡 社員の資格・講習を管理している方へ。有効期限が自動で色分けされる管理台帳テンプレート(Excel)を無料で配布しています。
まとめ
- 就業制限業務では、免許証・修了証を作業中に携帯する義務がある
- 紛失・改姓は交付した登録教習機関へ。機関が廃止なら発行事務局へ
- 統合カードは技能講習だけを1枚にまとめられる。特別教育・免許は対象外
- 会社で一括申込みができる。受講時に交付機関名と修了証番号を控えておく
出典
- 労働安全衛生法第61条・第119条・第120条、労働安全衛生法施行令第20条
- 労働安全衛生規則第81条・第82条
- 技能講習修了証明書発行事務局「技能講習修了証明書発行のご案内」(事業内容・目的別手続・代理人又は企業で一括して申し込む場合・よくあるご質問)
制度は改正されます。業種・事業場の規模・作業内容によって扱いが変わるため、実際の適用は所轄の労働基準監督署・都道府県労働局・講習の実施機関で必ずご確認ください。

