施工管理技士補(以下「技士補」)は、施工管理技術検定の第一次検定に合格した人が名乗れる称号です。会社の配置で特に意味を持つのは1級技士補です。主任技術者の要件も満たしていれば「監理技術者補佐」として現場に専任で置けます。そうすると、監理技術者は2つの現場を兼ねられます。2級技士補には、この配置の仕組みはありません。2024年度(令和6年度)からは受検資格が変わりました。第二次検定は、学歴ではなく「第一次検定に合格した後の実務経験」で受けられるようになっています。
この記事は、社員の資格を管理している総務・人事・安全衛生の担当者向けです。次の3つの疑問に答えます。技士補になった社員を現場でどう扱えるか。第二次検定までに何年の経験と、どんな証明が必要か。補佐としての配置と育成計画をどうつなげるか。2級・1級の試験の中身や勉強法は、種目ごとの記事に任せます。
施工管理技士補とは:第一次検定に合格すると名乗れる称号
施工管理技術検定は、建設業法第27条と第27条の2にもとづいて、国土交通大臣が指定した試験機関が実施しています。2021年度(令和3年4月1日施行)の制度改正で、検定は「第一次検定」と「第二次検定」の2段階になりました。あわせて建設業法施行令が改正され、第一次検定の合格者は「技士補」と名乗ることになりました。
1級土木を例にとると、第一次検定に合格すれば「1級土木施工管理技士補」、第二次検定に合格すれば「1級土木施工管理技士」という国家資格が得られます。検定の種目は次の7つです。種目ごとに担当の指定試験機関が決まっていて、受検の申込先はその機関です。
| 指定試験機関 | 担当する種目 |
|---|---|
| 一般財団法人 全国建設研修センター | 土木施工管理、管工事施工管理、造園施工管理、電気通信工事施工管理 |
| 一般財団法人 建設業振興基金 | 建築施工管理、電気工事施工管理 |
| 一般社団法人 日本建設機械施工協会 | 建設機械施工管理 |
2024年度からは、第一次検定の問題も見直されています。第二次検定に必要な実務経験の年数を学歴に関係なく同じにしたため、第一次検定で各専門分野の基礎を確かめられるよう、必要に応じて問題を充実させる方針です。
1級技士補と2級技士補で、現場での扱いはどう違うか
担当者がまず押さえたいのは、同じ「技士補」でも1級と2級で配置上の意味がまったく違うことです。
| 区分 | 監理技術者補佐としての配置 | 次の検定に向けた主な効果 |
|---|---|---|
| 1級技士補 | 可能。ただし、その工事の業種の主任技術者の要件を満たし、かつ工事の種類に対応する種目の1級第一次検定に合格していることが必要 | 合格後の実務経験で1級第二次検定を受けられる。合格後1年の実務経験で2級第二次検定も受けられる |
| 2級技士補 | 不可(補佐の要件が1級第一次検定の合格のため) | 合格後3年(建設機械は2年)の実務経験で2級第二次検定を受けられる |
注意したいのは、第一次検定に合格しただけでは主任技術者の要件そのものは満たさない点です。主任技術者として置けるかどうかは、技士補の称号ではなく、第二次検定の合格(技士)や実務経験などの主任技術者の要件で判断します。たとえば建設業振興基金の受検の手引では、2級建築施工管理技士(第二次検定の合格者)が営業所の技術者(2024年12月の法改正で「営業所の専任の技術者」から「営業所技術者」に呼び名が変わりました)や現場の主任技術者になれる資格として案内されています。
監理技術者補佐として配置できるかの判断
監理技術者補佐は、建設業法第26条第3項第2号にもとづき、監理技術者の職務を補佐する者として工事現場に専任で置く技術者です。補佐を工事ごとに専任で置けば、同じ監理技術者が2現場まで兼ねられます。この仕組みは2020年10月1日に始まりました。2024年12月13日に監理技術者制度運用マニュアルが改正され、それ以降は「専任特例2号」と位置づけられています。この兼務の対象は監理技術者だけで、主任技術者には使えません。補佐を置いて兼務する監理技術者は、以前はマニュアルで「特例監理技術者」と呼ばれていました。2024年12月13日の改正後は、「専任特例2号」の場合の監理技術者と書かれています。
配置を判断するときは、次の順に確認します。
- 監理技術者を置く工事か。発注者から直接請け負った特定建設業者が、下請契約の総額5,000万円(建築一式工事は8,000万円)以上で施工する工事が対象です(2025年2月1日以降の金額)。
- 補佐になる人の資格。その工事の業種の主任技術者の要件を満たし、かつ1級技士補であること。または監理技術者の要件を満たしていること。一部の業種では、監理技術者の要件を満たす人しか補佐になれません。業種ごとの扱いは、監理技術者制度運用マニュアルで確認してください。
- 補佐は工事ごとに専任で置く。監理技術者が兼ねられるのは2現場までです。
2024年12月13日からは、これとは別の「専任特例1号」も始まりました。情報通信技術を使って、専任の現場を兼ねる仕組みです。主な要件は、現場間の移動がおおむね2時間以内であること、下請の次数が3次までであること、連絡員を置くこと、施工体制を遠くから確認できる情報通信技術を使うことです。同時に兼ねられるのは2現場までです。
国土交通省によると、専任特例2号(国土交通省の回答の中では「特例監理技術者」制度)は、1号と違って請負代金額に上限がありません。その代わりに補佐を置く必要がある点で、対象の工事や要件が異なります。そのため、大きな工事で監理技術者を2現場に兼ねさせたいときは、引き続き1級技士補などの補佐を置く方式が選択肢になります。
| 比較項目 | 専任特例2号(監理技術者+補佐) | 専任特例1号(情報通信技術の活用) |
|---|---|---|
| 開始 | 2020年10月1日(2024年12月13日から「2号」と呼ぶ) | 2024年12月13日 |
| 兼ねられる現場数 | 2現場まで | 同時に2現場まで |
| 請負代金額の上限 | なし | あり(各工事1億円未満。建築一式工事は2億円未満) |
| 現場に置く人 | 工事ごとに専任の監理技術者補佐 | 連絡員(一式工事では実務経験1年以上。専任は求められない) |
2024年度からの受検資格の見直し
改正後の受検資格は、2024年4月1日から施行されています。旧制度では、学歴ごとに「卒業後○年」の実務経験が求められていました。1級ではさらに、指導監督的な実務経験1年を含む必要がありました。新制度では、第一次検定は年齢だけで受けられます。第二次検定は「第一次検定などに合格した後の実務経験」で受けられます。
| 検定 | 新しい受検資格 |
|---|---|
| 2級 第一次検定 | 受検する年度の末日(3月31日)時点で17歳以上(従来から変更なし) |
| 2級 第二次検定 | 2級第一次検定の合格後、実務経験3年以上(建設機械は2年以上)。または1級第一次検定の合格後、実務経験1年以上 |
| 1級 第一次検定 | 受検する年度の末日時点で19歳以上(学歴は問わない) |
| 1級 第二次検定 | 1級第一次検定の合格後、次のいずれか。 (1) 実務経験5年以上 (2) 特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上 (3) 監理技術者補佐としての実務経験1年以上 または、2級第二次検定の合格後(1級第一次検定の合格者に限る)、実務経験5年以上か、特定実務経験1年以上を含む3年以上 |
年齢は、受検日ではなく受検する年度の末日時点で判断します。そのため、年度の途中で19歳になる社員も、その年度の1級第一次検定を受けられます。ほかに、技術士の第二次試験、1級建築士試験、第一種電気工事士試験などの合格を起点にする関連資格のルートもあります。どの資格が使えるかは種目ごとに違います。
2024年度から2028年度(令和10年度)までは経過措置の期間で、第二次検定は旧受検資格と新受検資格のどちらでも受けられます。建設業振興基金の案内では、2029年度(令和11年度)以降は旧受検資格は廃止されます。
第一次検定から第二次検定までの流れと、会社が用意する証明
新受検資格で第二次検定を受けるときに、会社が関わるのは主に実務経験の証明です。流れは次のとおりです。
- 第一次検定に合格する(技士補になる)。実務経験として数えられるのは、合格した後の経験です。2021年度以降の第一次検定の合格者は、2024年4月1日より前の経験も合格後のものであれば数えられます。
- 対応する業種の工事で経験を積む。実務経験として数えられる工事は、原則として検定種目に対応した建設業の業種の工事です。全国建設研修センターの1級土木の受検の手引では、発注者側や工事監理の立場での経験も、一般の実務経験としては数えられるとしています。
- 必要に応じて特定実務経験を積む。特定実務経験とは、建設業法の適用を受ける請負金額4,500万円(税込)以上(国土交通省と建設業振興基金の案内では、建築一式工事は7,000万円以上)の工事での経験です。監理技術者か主任技術者(いずれも、その工事の種類の監理技術者資格者証を持つ人)の指導の下で行うか、自分が監理技術者・主任技術者として行う必要があります。指導する技術者が別の会社に所属している場合や、発注者側として携わった場合は、特定実務経験になりません。
- 工事ごとに証明を受けて申し込む。証明するのは、原則として工事ごとに、受検者が所属する会社の代表者などか、その工事の監理技術者などです。2024年3月31日を含む工事の経験までは、従来の方法(申請時に所属する会社の代表者などによる証明)も使えます。
監理技術者補佐としての経験で1級第二次検定を受ける場合は、確認が特に厳しくなります。全国建設研修センターの2026年度(令和8年度)1級土木の受検の手引では、申込みのときに施工体制台帳のアップロードを求めています。台帳では、次の点が確認できなければなりません。
- 特定建設業者が元請として請け負った工事であること
- 監理技術者の氏名と資格の内容、そして監理技術者が非専任であること
- 補佐の氏名と資格の内容(1級第一次検定の合格と、主任技術者の資格)
1級第一次検定に合格する前の期間は数えられません。監理技術者の手伝いや補助をしただけの経験も対象外です。さらに、補佐としての経験や特定実務経験は、複数の工事をまとめて登録できません。
会社として技士補をどう配置し、育成に使うか
新制度では、資格取得までの道筋を年齢と配置の計画で組み立てやすくなりました。担当者が計画に入れておきたい点は次の4つです。
1. 第一次検定は早めに受けさせる。第二次検定に必要な経験は、合格した時点から数え始めます。2級は年度末に17歳以上、1級は19歳以上で受けられるので、入社前後から計画できます。
2. 1級技士補の補佐ルートは、主任技術者の要件とセットで考える。補佐としての経験1年で1級第二次検定を受けられるのが最短のルートです。ただし、補佐になるには主任技術者の要件が必要です。若手が1級技士補になっただけでは、補佐には置けません。たとえば次の順に進める計画が考えられます。
- 1級第一次検定に合格する
- 合格後1年の実務経験で2級第二次検定を受け、2級技士になる(主任技術者の要件を満たす)
- 監理技術者補佐として1年配置する
- 1級第二次検定を受ける
2級技士の資格が補佐にする工事の業種に対応しているかは、事前に確認してください。
3. 補佐を置いた現場の記録を残す。補佐としての経験を1級第二次検定の受検資格に使うには、施工体制台帳で「監理技術者が非専任」であることなどが確かめられる必要があります。補佐に任命した社員がいる現場は、台帳の写しと、監理技術者の資格者証の交付番号を人事側でも控えておくと、申込みのときに困りません。
4. 特定実務経験は、指導者の所属と資格者証で決まる。請負金額が基準以上でも、指導する技術者が別の会社に所属していたり、資格者証を持っていなかったりすると、特定実務経験になりません。社員を大きな工事に配置するときは、自社の資格者証を持つ技術者の下に付けることが、受検資格の面でも意味を持ちます。
種目ごとの試験の中身や勉強の進め方は、土木施工管理技士2級の記事、土木施工管理技士1級の記事、建築施工管理技士2級の記事にまとめています。
よくある質問
Q. 2級技士補の社員を、監理技術者補佐や主任技術者として置けますか。
監理技術者補佐には置けません。補佐の要件に、工事の種類に対応する1級第一次検定の合格が含まれているためです。主任技術者として置けるかどうかは、技士補の称号ではなく、第二次検定の合格や実務経験などの主任技術者の要件で判断します。
Q. 旧受検資格はいつまで使えますか。
第二次検定は、2028年度(令和10年度)の検定まで旧受検資格でも受けられます。経過措置の期間中は、旧と新のどちらを選んでもかまいません。建設業振興基金(建築・電気工事)の案内では、2029年度以降は旧受検資格は廃止されます。ただし、2024年度から2028年度までに「第二次検定のみ」の再受検の対象になった人(第二次検定の受検票が交付された人)は、2029年度以降も「第二次検定のみ」の再受検を申請できるとしています。
Q. 改正前に第一次検定に合格した社員の実務経験は、いつから数えますか。
2021年度以降の第一次検定の合格者なら、2024年4月1日の施行日より前でも、合格した後の経験を実務経験として数えられます。施行日から数え直す必要はありません。
Q. 1級技士補を補佐として置いた期間は、すべて1級第二次検定の実務経験になりますか。
なりません。数えられるのは、1級第一次検定に合格した後に、建設業法第26条第3項第2号の補佐として専任で置かれた期間だけです。施工体制台帳で、特定建設業者が元請であること、監理技術者が非専任であることなどが確かめられる必要があります。対象は、下請総額が監理技術者を置く基準を満たす工事です。基準額は工事の時期で異なり、2025年2月1日以降の工事は5,000万円(税込)以上です。
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まとめ
- 技士補は第一次検定の合格者の称号で、2021年4月1日の制度改正で始まりました。主任技術者の要件は、技士補ではなく技士(第二次検定の合格)や実務経験などで満たします。
- 監理技術者補佐として置けるのは、主任技術者の要件を満たす1級技士補(または監理技術者の要件を満たす人)だけです。補佐を工事ごとに専任で置けば、監理技術者は2現場まで兼ねられます。
- 2024年4月1日から、第一次検定は2級が17歳以上、1級が19歳以上(どちらも年度末時点)で受けられるようになりました。第二次検定は、第一次検定などに合格した後の実務経験で受けられます。
- 1級第二次検定は、1級第一次検定の合格後、実務経験5年、特定実務経験1年を含む3年、補佐としての経験1年のいずれかで受けられます。旧受検資格は2028年度まで選べます。
- 会社としては、早めに第一次検定を受けさせること、主任技術者の要件と補佐への配置を組み合わせた計画、施工体制台帳と資格者証の番号の記録が、受検資格を確実に満たす鍵になります。
出典
- 建設業法 第26条第3項第2号(監理技術者補佐)、第27条・第27条の2(技術検定)
- 建設業法施行令(第一次検定の合格者の称号を技士補とする規定。第2条・第27条ほか金額要件、2025年2月1日施行)
- 施工技術検定規則及び建設業法施行規則の一部を改正する省令(2024年4月1日施行)
- 国土交通省「『施工技術検定規則及び建設業法施行規則の一部を改正する省令』等について」(よくあるご質問を含む)
- 国土交通省「令和6年度より施工管理技術検定の受検資格が変わります」(チラシ・報道発表資料の別添2、令和5年11月9日版)
- 国土交通省 報道発表資料「令和6年度技術検定のスケジュール等を公表しました」(令和5年11月9日)
- 国土交通省 報道発表資料「『建設業法施行令の一部を改正する政令』が閣議決定されました~第一次検定の合格者の称号を技士補とすることなどを規定~」
- 国土交通省 報道発表資料「建設業の各種金額要件や技術検定の受検手数料を見直します」(令和6年12月6日)
- 国土交通省「現場技術者の専任合理化(R6.12.13施行)」資料、監理技術者制度運用マニュアル(令和6年12月13日改正、最終改正 令和7年1月28日)
- 国土交通省「『建設業法施行規則及び施工技術検定規則の一部を改正する省令案』に関する意見募集の結果について」(令和6年12月16日)
- 関東地方整備局「監理技術者の専任緩和(建設業法第26条第3項第2号)」関係資料
- 近畿地方整備局 建設業法令遵守関係資料(令和7年4月改訂)
- 一般財団法人 全国建設研修センター「令和8年度 1級土木施工管理技術検定 第二次検定 新受検資格 受検の手引」
- 一般財団法人 建設業振興基金「令和8年度 2級建築施工管理技術検定 2級電気工事施工管理技術検定 新受検資格インターネット専用受検の手引」「2級建築施工管理技術検定 受検の手引」「1級 建築施工管理技術検定のご案内」
制度は改正されます。業種・事業場の規模・作業内容によって扱いが変わるため、実際の適用は所轄の労働基準監督署・都道府県労働局・消防署・講習の実施機関で必ずご確認ください。

